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介護休業給付金の申請方法完全ガイド|支給要件・必要書類・記入のコツ・受給までの流れ【2026年版】

介護制度・お金・手続き

「親の介護で介護休業を取りたい。給付金は本当にもらえるのか?」「会社が手続きしてくれるのか不安」――こうした声をよく聞きます。介護休業給付金は雇用保険からの大きな支援ですが、申請主義の壁と会社の手続き負担のため、本来取れるはずなのに取らないまま終わるケースが少なくありません。

2025年4月の育児・介護休業法改正で、事業主には介護に直面した労働者への両立支援制度の個別周知・意向確認の義務が課されました。介護休業給付金についても、会社側から積極的に説明される環境が整いつつあります。

本記事では、介護福祉士として家族の仕事と介護の両立相談に多く応じてきた経験をふまえ、2026年4月時点の制度に基づいて介護休業給付金の申請方法を実務目線で完全整理します。最新の運用は最寄りのハローワーク・社会保険労務士・会社の人事部門で必ずご確認ください。

  1. 介護休業給付金の基本|全体像をつかむ
    1. 制度の趣旨
    2. 主なポイント
    3. 「介護休業」と「介護休暇」の違い
  2. 支給要件|あなたは対象か
    1. 雇用保険の被保険者期間
    2. 対象家族
    3. 「2週間以上の常時介護を必要とする状態」
    4. 休業期間と賃金
  3. 支給額の計算|実例
    1. 計算式
    2. 支給額の目安
    3. 所得税・住民税の扱い
  4. 申請の手順|事業主経由でハローワーク
    1. 申請の主体は事業主
    2. 申請の流れ
    3. 申請期限
    4. 必要書類(事業主経由のため、労働者は確認のみ)
  5. 分割取得の活用|93日を3回に分ける
    1. 分割の意義
    2. 分割パターンの例
    3. 分割取得時の注意
  6. 2025年4月育児・介護休業法改正のポイント
    1. 個別周知・意向確認の義務化
    2. 40歳到達時の情報提供の努力義務
    3. 介護のためのテレワーク導入の努力義務
    4. 仕事と介護の両立支援に関する研修・相談体制の整備義務
  7. 申請でつまずきやすいポイント
    1. 会社が制度に不慣れ
    2. 賃金台帳・出勤簿の整備不足
    3. 「対象家族の状態」の証明
    4. 休業中の有給休暇との切り分け
    5. 申請期限の見落とし
  8. 他制度との併用
    1. 有給休暇との併用
    2. 介護休暇との併用
    3. 短時間勤務制度との併用
    4. 介護保険サービスとの組み合わせ
  9. ケース別|給付金活用の実例
    1. ケース1|退院直後の体制構築
    2. ケース2|認知症の母の体制再構築
    3. ケース3|看取り期の付き添い
  10. 介護福祉士から見た|給付金を活用した家族の特徴
  11. まとめ|「権利」として堂々と使う
  12. よくある質問

介護休業給付金の基本|全体像をつかむ

制度の趣旨

介護休業給付金は、雇用保険の被保険者が「対象家族の介護」を理由に介護休業を取得した場合に、休業期間中の賃金喪失を補填する給付制度です。育児休業給付金と類似の仕組みで、雇用保険の財源から支給されます。

主なポイント

  • 対象家族1人につき通算93日まで、3回まで分割取得可能
  • 支給額は休業前賃金の67%
  • 給付金には所得税がかからない(住民税は別途)
  • 健康保険料・厚生年金保険料の負担軽減・免除あり
  • 申請窓口は事業主経由でハローワーク

「介護休業」と「介護休暇」の違い

同じ「介護」という名称でも、別の制度です。

項目 介護休業 介護休暇
取得日数 対象家族1人につき通算93日 対象家族1人につき年5日(2人以上は年10日)
取得単位 連続した期間(3回分割可) 1日または時間単位
給付金 あり(67%) 原則なし(会社による)
主な用途 長期的な体制構築 通院付き添い・スポット対応
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支給要件|あなたは対象か

雇用保険の被保険者期間

介護休業を開始した日の前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あることが基本要件です。短期間の転職を経ていても通算でカウントされます。

パート・派遣の方も雇用保険に加入していれば対象。週20時間以上の労働時間で雇用保険に入っているか確認してください。

対象家族

介護対象になる家族の範囲は次の通り。

  • 配偶者(事実婚を含む)
  • 父母(養父母を含む)
  • 子(養子・認知した子を含む)
  • 配偶者の父母
  • 祖父母
  • 兄弟姉妹

叔父・叔母・甥・姪などは対象外。なお、2017年から祖父母・兄弟姉妹・孫の同居・扶養要件は撤廃されたため、別居でも対象家族として認められます。

「2週間以上の常時介護を必要とする状態」

家族が「2週間以上の常時介護を必要とする状態」であることが要件。具体的には、要介護2以上、または厚生労働省の判断基準(食事・排泄・移動など12項目)で2項目以上の介助が必要な状態。要介護認定がまだ下りていなくても、この基準を満たせば対象になります。

状態の判断は会社が行い、必要に応じて医師の診断書等で確認します。要介護認定を受けていれば認定通知のコピーで足りる場合がほとんどです。

休業期間と賃金

  • 各支給単位期間(30日)において休業日数が20日以上
  • 休業期間中の賃金月額が、休業開始時賃金月額の80%未満

つまり、有給休暇を併用しすぎて休業期間中に8割超の賃金を受け取っている場合は給付金が出ません。会社と「いつから介護休業」「いつから給付金対象」を整理しておく必要があります。

支給額の計算|実例

計算式

支給額は次の式で計算されます。

介護休業給付金 = 休業開始時賃金日額 × 支給日数 × 67%

休業開始時賃金日額は、休業前6か月の賃金合計を180で割った額。

支給額の目安

休業前月給 30日休業の支給額 93日全期間休業の支給額
20万円 約13.4万円 約41.5万円
30万円 約20.1万円 約62.3万円
40万円 約26.8万円 約83.0万円
50万円 約33.5万円 約103.8万円

※厳密には支給上限額・下限額があり、賃金日額の上限を超える方は満額支給されません。最新の上限額はハローワークでご確認ください。

所得税・住民税の扱い

  • 所得税:非課税(雇用保険からの給付)
  • 住民税:前年所得に基づくため発生(休業中も納付)
  • 社会保険料:休業期間中は負担軽減・免除の仕組みあり(事業主への申請)

申請の手順|事業主経由でハローワーク

申請の主体は事業主

介護休業給付金は原則として事業主(会社)がハローワークに申請します。労働者本人が直接申請することも法的には可能ですが、実務上は会社の総務・人事部門が代行するのが一般的です。

申請の流れ

ステップ 担当 内容
① 介護休業の申し出 労働者→会社 休業開始2週間前までに会社へ申し出
② 「介護休業申出書」を会社に提出 労働者 会社の様式に記入・対象家族の情報添付
③ 会社が「事業主証明書」を作成 会社 休業開始日・対象家族・労働者情報
④ 介護休業の取得 労働者 最大93日まで(分割可)
⑤ 介護休業終了後(または分割終了ごと) 会社 「介護休業給付金支給申請書」をハローワークに提出
⑥ ハローワーク審査 ハローワーク 2〜4週間程度
⑦ 給付金振込 ハローワーク→労働者 本人指定口座へ振込

申請期限

介護休業終了日の翌日から起算して2か月後の月末まで。たとえば3月15日に介護休業が終了したら、5月31日までに申請が必要。期限を過ぎると支給されません。

必要書類(事業主経由のため、労働者は確認のみ)

  • 介護休業給付金支給申請書(労働者の押印が必要)
  • 休業開始時賃金月額証明書
  • 賃金台帳(休業前6か月分)
  • 出勤簿・タイムカード
  • 労働者名簿
  • 事業所の介護休業規程
  • 住民票記載事項証明書(対象家族との続柄確認)
  • 介護を必要とする状態の確認資料(要介護認定通知書等)

会社が手続きに不慣れな場合は、ハローワークに直接電話して指導を仰ぐか、社会保険労務士に依頼することもできます。

分割取得の活用|93日を3回に分ける

分割の意義

2017年改正で、介護休業は対象家族1人につき3回まで分割取得できるようになりました。介護期間平均約5年1か月の中で、要所要所に休業を入れる戦略的な活用が可能です。

分割パターンの例

パターン 使い方
1回目(30日) 介護開始時の体制構築(介護保険申請・サービス選定・住居整備)
2回目(30日) 状態急変時の対応(入院・退院・施設選定)
3回目(33日) 看取り期の付き添い

各回ごとに介護休業申出書を提出し、終了後に給付金申請を行います。

分割取得時の注意

  • 合計93日を超えて取得することはできない
  • 各回の休業終了から次回開始までの間に、雇用保険被保険者期間の要件は再カウントされない
  • 会社の介護休業規程によっては、分割回数や事前申し出期限が異なる場合あり

2025年4月育児・介護休業法改正のポイント

2025年4月の改正で、介護休業を取得しやすくする環境整備が進みました。給付金そのものの計算式は変わっていませんが、運用面での重要な変更点があります。

個別周知・意向確認の義務化

労働者から介護の申し出があった場合、事業主は介護休業・介護休暇・短時間勤務等の制度について個別に周知し、利用意向を確認する義務を負います。会社が「制度を知らせない」事態が制度上起きにくくなりました。

40歳到達時の情報提供の努力義務

従業員が40歳に達した時点で、介護に直面する前から両立支援制度の情報を提供する努力義務。早期に情報を持って準備できるようになりました。

介護のためのテレワーク導入の努力義務

介護を理由にテレワークができる環境整備が事業主の努力義務化。介護休業+テレワークの組み合わせで仕事を続ける選択肢が広がっています。

仕事と介護の両立支援に関する研修・相談体制の整備義務

会社の人事部・労働組合に「介護の相談がしたい」と申し出ると対応してもらえる環境が整います。

💡 ポイント

2025年4月以降、会社に「介護休業を取りたい」と申し出ると、事業主から制度の説明を受ける権利があります。「会社に迷惑だから」と遠慮せず、堂々と利用してください。給付金は雇用保険からの支給で、会社の人件費にはほぼ影響しません。

申請でつまずきやすいポイント

会社が制度に不慣れ

中小企業や介護休業取得実績の少ない会社では、総務担当者が手続きに不慣れなケースがあります。次の対応で乗り切れます。

  • 厚生労働省の「介護休業給付の支給申請手続のご案内」リーフレットを会社に渡す
  • ハローワークの担当窓口に労働者からも電話して指導を仰ぐ
  • 必要であれば社会保険労務士に依頼(会社負担または個人負担)

賃金台帳・出勤簿の整備不足

休業前6か月の賃金台帳・出勤簿が必要。整備が不十分だと申請が遅れる場合があります。会社の総務に早めに「介護休業を予定しているので、賃金台帳の確認をお願いしたい」と伝えるのが安全。

「対象家族の状態」の証明

要介護認定を受けていない場合、「2週間以上の常時介護を必要とする状態」の証明に手間取ることがあります。要介護認定を申請して通知が下りるまでは数週間かかるため、介護休業を予定する段階で並行して進めるのが現実的。

介護保険の申請から認定までの完全ガイド|地域包括への相談から要介護認定の通知まで【2026年版】
介護保険の申請から認定までの流れ

休業中の有給休暇との切り分け

有給休暇を介護休業に併用すると、賃金が休業前の80%を超えて支給されてしまい、給付金が出なくなる可能性があります。会社と「介護休業期間」「有給休暇期間」を明確に分けて整理。

申請期限の見落とし

介護休業終了日の翌日から2か月後の月末という期限は、絶対に守る必要があります。会社の総務に必ず期限を共有し、リマインドしておくのが安全。

他制度との併用

有給休暇との併用

有給を消化してから介護休業に入る、または介護休業中に有給を使う、いずれも可能ですが、有給を使った日は介護休業給付金の対象外になります。戦略としては「有給を先に消化+給付金対象期間に介護休業」を組み合わせるのが効率的。

介護休暇との併用

介護休暇(年5〜10日)は介護休業とは別枠で取得可能。介護休業から復帰した後の通院付き添い等に介護休暇を使う形が定石。

短時間勤務制度との併用

介護休業93日を取得した後、短時間勤務制度(利用開始から3年以上、2回以上の利用可)に切り替えて働き続ける形がもっとも長期的な仕事と介護の両立につながります。

介護保険サービスとの組み合わせ

介護休業中は、介護保険申請・サービス選定・在宅環境の整備に集中するのが定石。在宅サービスを十分に組成すれば、復帰後はフルタイム勤務との両立が可能になります。

ケース別|給付金活用の実例

ケース1|退院直後の体制構築

父が脳梗塞で入院。退院前2週間と退院後2週間で計28日間の介護休業を取得。給付金は約20万円(休業前月給30万円の場合)。介護保険申請・住宅改修・訪問介護の選定を完了し、復帰後はフルタイム勤務を継続。

ケース2|認知症の母の体制再構築

母の認知症進行で在宅介護が回らなくなり、25日間の介護休業を1回目として取得。給付金約16万円。デイサービスの増回・小規模多機能の利用開始・家族会議で兄弟との分担を整え、復帰後の体制を作った。

ケース3|看取り期の付き添い

父の在宅看取りに合わせて33日間の介護休業を3回目として取得。給付金約22万円。看取り後の手続きまでをカバーし、心身のダメージから回復する時間も確保。

介護福祉士から見た|給付金を活用した家族の特徴

介護福祉士 SEDO(経験7年)

介護休業給付金を上手に使えたご家族には、共通点があります。「介護開始時に思い切って体制構築期間を取る」ことです。最初の30日間に集中してサービスを組成し、住宅環境を整え、家族会議をすると、その後の数年間が驚くほどスムーズに進みます。

逆に給付金を活用できなかったご家族は、次のパターンが多いです。

  • 「会社に迷惑」と遠慮して取らなかった
  • 制度を知らなかった(申し出れば対象になる権利)
  • 会社が手続きに後ろ向きで諦めた
  • 申請期限を過ぎた
  • 有給と介護休業を混同して給付金が出なくなった

給付金はあなたが納めた雇用保険料に基づく権利です。会社が知らなければ自分で調べてハローワークに連絡を。会社が消極的なら社会保険労務士・労働組合・労働基準監督署に相談を。「申請主義の壁」を乗り越える行動が、結果として家族と本人の生活の質を守ります

まとめ|「権利」として堂々と使う

本記事の要点を整理します。

  • 支給要件は雇用保険1年以上+対象家族+常時介護2週間以上+休業要件
  • 支給額は休業前賃金の67%、所得税は非課税
  • 対象家族1人につき通算93日・3回まで分割可能
  • 申請は事業主経由でハローワーク(介護休業終了の翌日から2か月後月末まで)
  • 2025年4月改正で会社の個別周知・意向確認が義務化
  • 有給・介護休暇・短時間勤務と戦略的に組み合わせる

介護休業給付金は、家族介護者の経済的セーフティネットの中核です。「会社に迷惑」「自分には関係ない」と遠慮する前に、まず会社の人事部に申し出てみてください。制度的にも雇用保険の財源で会社負担はほぼなく、堂々と権利として活用できる仕組みです。

よくある質問

Q:介護休業給付金の支給要件は何ですか?
A:次の4つを満たすと支給対象になります。①介護休業を開始した日の前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること、②2週間以上常時介護を必要とする状態の対象家族(配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹・孫)を介護するための休業であること、③介護休業期間中の各支給単位期間(30日)において、休業日数が20日以上あること、④休業開始時の賃金月額の80%以上が支払われていないこと。雇用保険に1年以上加入している正社員・契約社員はほぼ対象になります。パート・派遣の方も雇用保険に加入していれば対象です。

Q:支給額はいくらですか?
A:休業開始時賃金日額×支給日数×67%で計算されます。たとえば休業前賃金月額30万円の方が30日間休業する場合、約20.1万円が支給される計算です。月給40万円なら約26.8万円、月給20万円なら約13.4万円。給付金には所得税はかかりません(住民税は前年所得に基づくため発生)。健康保険料・厚生年金保険料は休業期間中の負担が軽減または免除される仕組みもあります。最新の支給率・上限額はハローワークでご確認ください。

Q:介護休業給付金は誰が申請しますか?
A:原則として事業主(会社)がハローワークに申請します。労働者本人が直接申請することも法的には可能ですが、実務上は会社の総務・人事部門が申請を代行するのが一般的です。労働者本人は会社に「介護休業給付金支給申請書」「賃金台帳」「出勤簿」などの書類確認を依頼し、本人記載欄に署名・押印します。会社が手続きに不慣れな場合は、社会保険労務士に依頼するか、ハローワークに直接電話して指導を仰ぐ方法もあります。

📚 出典・参考

・厚生労働省「介護休業制度のあらまし」
・厚生労働省「介護休業給付金の支給申請手続のご案内」
・厚生労働省「育児・介護休業法改正のポイント」(2025年4月施行)
・雇用保険法・育児介護休業法
・各地域ハローワーク/都道府県労働局
※雇用保険・労働関連の制度は2026年4月時点の一般的な解説です。最新の運用は最寄りのハローワーク・社会保険労務士・会社の人事部門で必ずご確認ください。

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