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介護費用の総額シミュレーション|在宅と施設で月いくら違うか【2026年版】

介護制度・お金・手続き

「親の介護、結局いくらかかるんだろう」。これは介護を意識し始めたご家族から最初に聞く質問です。生命保険文化センターの調査では、介護期間の平均は約5年1か月、介護に要する費用は一時費用平均74万円+月額平均8.3万円。総額で見ると約580万円に達します。

ただしこれはあくまで全国平均。実際には在宅か施設か、要介護度はどれか、どんなサービスを組み合わせるかで大きく変わります。この記事では、介護福祉士として現場で見てきた実例と、2026年4月時点の制度をベースに、リアルな費用シミュレーションを示します。

介護費用の全体像|何にいくらかかるのか

一時費用と月額費用の違い

介護費用は大きく2種類に分かれます。

  • 一時費用… 住宅改修、福祉用具購入、施設入居一時金など。介護開始時に発生する初期費用
  • 月額費用… 介護サービス利用料、施設利用料、おむつ代、食費など。介護を続ける限り毎月かかる費用

家計設計のうえでは、この両方を別々に把握することが第一歩です。

介護保険でカバーされる範囲・されない範囲

介護保険でカバーされるのは、原則として要介護認定を受けた方の介護サービス費用の7〜9割(自己負担1〜3割)。所得に応じて負担割合が決まります。

一方、以下は介護保険外(実費)です。

  • 食費、居住費、日用品費
  • おむつ代(在宅の場合。施設では含まれることも)
  • 医療費(医療保険が別枠で適用)
  • 区分支給限度額を超えた部分のサービス利用料
介護保険が使えないサービスと自己負担になるケース
介護保険が使えないサービス

公的支援で減額される費用

「思ったより使える制度がある」のが介護費用の特徴です。代表例:

  • 高額介護サービス費… 自己負担月額の上限を超えた分が払い戻される
  • 高額医療・高額介護合算療養費… 医療費と介護費の年間合算で上限を超えた分が戻る
  • 特定入所者介護サービス費(補足給付)… 低所得世帯の施設食費・居住費の軽減

在宅介護の月額シミュレーション【要介護度別】

要介護度ごとに、介護保険の区分支給限度額(1か月に使える上限)が決まっています。1単位=約10円で、自己負担1割の場合の月額目安を見ていきます。

要介護度別の支給限度額(2026年4月時点)

要介護度区分支給限度額自己負担1割の場合(月額)
要支援15,032単位約5,032円
要支援210,531単位約10,531円
要介護116,765単位約16,765円
要介護219,705単位約19,705円
要介護327,048単位約27,048円
要介護430,938単位約30,938円
要介護536,217単位約36,217円

💡 ポイント

これは「介護サービスの自己負担額」だけ。実際にはここに食費、おむつ代、医療費、住宅費などが上乗せされます。

ケース①:要介護1で在宅介護(軽度)

  • 介護サービス自己負担:約16,000円
  • おむつ代:約3,000円(軽失禁)
  • 福祉用具レンタル:約1,500円(手すり程度)
  • 医療費:約5,000円
  • 月額合計:約25,000円

ケース②:要介護3で在宅介護(中度)

  • 介護サービス自己負担:約27,000円
  • おむつ代:約8,000円
  • 福祉用具レンタル:約3,000円(介護ベッド・車いす)
  • 医療費:約8,000円
  • 食事配達サービス:約10,000円
  • 月額合計:約56,000円

ケース③:要介護5で在宅介護(重度)

  • 介護サービス自己負担:約36,000円
  • おむつ代:約12,000円
  • 福祉用具レンタル:約5,000円
  • 医療費(訪問診療含む):約15,000円
  • 食事関連:約12,000円
  • 月額合計:約80,000円

※住宅改修や福祉用具購入の一時費用(合計20〜80万円)は別途。

施設介護の月額シミュレーション【施設種別】

施設は種類によって費用感が大きく異なります。要介護3以上を想定した月額目安です。

施設種別月額目安入居一時金主な対象
特別養護老人ホーム(多床室)8〜13万円不要要介護3以上
特別養護老人ホーム(ユニット型)13〜18万円不要要介護3以上
介護老人保健施設(老健)10〜15万円不要要介護1以上、原則3〜6か月
介護付き有料老人ホーム15〜30万円0〜数百万円要介護1以上が多い
住宅型有料老人ホーム12〜25万円+介護サービス費0〜数百万円自立〜要介護
サービス付き高齢者向け住宅10〜25万円+介護サービス費敷金程度自立〜要介護
グループホーム12〜18万円0〜数十万円認知症の要介護1以上
介護施設の種類をわかりやすく解説|特養・老健・有料老人ホームの違いとは?
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有料老人ホームの費用のリアル
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在宅 vs 施設の総額比較(5年・10年)

具体的なケースで比較します。

ケースA:要介護2のまま在宅5年

月額3万円 × 60か月+住宅改修30万円=約210万円

ケースB:要介護4で特養(多床室)に5年

月額10万円 × 60か月=約600万円

ケースC:在宅3年→特養2年

在宅期:月額5万円 × 36か月=180万円
特養期:月額10万円 × 24か月=240万円
住宅改修等:30万円
合計:約450万円

⚠️ 現場で見てきた現実

家族にとって最大のリスクは「介護が長期化する」ことです。要介護5でも10年以上続くケースがあります。月額の差は小さく見えても、5年・10年の単位では総額200〜400万円の差になります。

費用が払えなくなったときの公的支援

高額介護サービス費

所得区分ごとに自己負担月額の上限が決まっており、超えた分は申請により払い戻されます。一般所得区分なら月額44,400円が上限。詳細はこちら。

高額介護サービス費の使い方完全ガイド|上限額・申請手順・還付タイミング・遡及申請の実務【2026年版】
高額介護サービス費

高額医療・高額介護合算療養費制度

1年間(毎年8月〜翌年7月)の医療費と介護費の自己負担合計が上限を超えた場合、超過分が戻る制度。医療と介護を併用している方は、ほぼ確実にチェックすべき制度です。

特定入所者介護サービス費(補足給付)

住民税非課税世帯など、低所得の方が施設入所した場合、食費・居住費が大幅に軽減されます。年金収入のみの世帯では、特養の月額が5〜8万円台に下がるケースもあります。

生活保護の介護扶助

介護費用が払えない状況なら、生活保護による介護扶助の対象になります。生活保護でも入所できる施設はあります。

生活保護でも老人ホームに入れる?
生活保護でも老人ホームに入れる?

介護費用を抑える3つの工夫

区分変更で適正な要介護度に

状態が悪化しているのに以前の要介護度のままだと、必要なサービスに自己負担が発生します。逆に、認定が実態より重く出ているケースも稀にあります。状態が変わったら遠慮なく区分変更申請を。

区分変更申請のやり方|状態が悪化したときの手続き・流れ・損しない伝え方まで解説
要介護度が実態より低いと感じたら区分変更申請が可能です。申請の流れ、必要書類、医師意見書のポイント、認定調査で損をしない伝え方、却下された場合の対処法までを解説します。

福祉用具レンタル vs 購入の判断

介護ベッド・車いすは原則レンタル(月数百円〜)が安上がり。一方、ポータブルトイレや入浴補助具は特定福祉用具販売で購入すれば年間10万円まで保険適用です。

医療費控除・障害者控除の活用

確定申告の際、おむつ代(医師の証明があれば)、訪問看護、施設費の一部などは医療費控除の対象。要介護認定者は障害者控除の対象にもなります。年間で数万円〜数十万円の節税になることがあります。

介護福祉士が見てきた|お金で詰まる家族の共通点

介護福祉士 SEDO(経験7年)

お金で詰まるご家族には共通点があります。それは「制度を知らないまま、自費でなんとかしようとした」というパターンです。逆に、制度を網羅的に確認したご家族は、想像より少ない負担で済んでいる印象です。

もう一つの共通点は、「親の貯金を使いたくない」と気を遣いすぎること。介護費用は本人の年金・貯金から出すのが原則です。家族の家計を圧迫し続けると共倒れします。

介護破産は本当にある?実例から考える費用の限界
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まとめ:早めの試算が選択肢を広げる

介護費用は「やってみないとわからない」と思われがちですが、要介護度と居住場所が決まればある程度の試算は可能です。早い段階で総額の見通しを立てることで、施設選びも家計設計も冷静に進められます。

「払えなくなってから動く」のではなく、「払えなくならないように制度を組み合わせる」発想で取り組んでください。

よくある質問

Q:介護費用の総額平均はいくらですか?
A:生命保険文化センターの調査によれば、一時費用平均74万円+月額平均8.3万円で、総額約580万円が平均です。介護期間平均は約5年1か月。ただし在宅か施設か、要介護度、サービス内容で大きく変動します。

Q:介護費用が払えなくなったらどうすればいいですか?
A:高額介護サービス費、高額医療・高額介護合算療養費、特定入所者介護サービス費(補足給付)、生活保護の介護扶助など、複数の公的支援制度があります。まず地域包括支援センターまたはケアマネジャーに相談してください。

Q:介護保険の自己負担割合はどう決まりますか?
A:本人および世帯の所得によって1割・2割・3割のいずれかに分かれます。一般的な年金収入のみの世帯は1割負担です。所得が一定以上ある方は2割または3割負担となります。負担割合は毎年7月に見直され、被保険者証と一緒に届きます。

📚 出典・参考

・厚生労働省「介護保険事業状況報告」
・生命保険文化センター「生命保険に関する全国実態調査」
・厚生労働省「高額介護サービス費の見直しについて」
※費用は2026年4月時点。介護報酬改定により変動する可能性があります。

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