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介護費用が払えないときの公的支援 完全ガイド

介護制度・お金・手続き

「親の介護費用が想定より重い」「年金だけでは月の支払いが足りない」――介護を続ける家族から、もっとも切実に相談を受けるのがお金の問題です。介護期間の平均は約5年1か月、総額平均は約580万円(生命保険文化センター調査)と決して小さい金額ではありません。

けれども、現場で多くのご家族と接してきた中で痛感するのは、「払えない」の前に使える公的支援を知らないまま貯金を切り崩している家族が非常に多いという現実です。介護保険には自己負担を抑える複数の仕組みがあり、さらに低所得世帯向けの貸付・扶助・後見支援まで含めると、選択肢は決して少なくありません。

本記事では、介護福祉士として現場で見てきた事例をふまえ、2026年4月時点で使える6つの公的支援制度相談先の優先順位を整理します。金額・所得区分は2026年4月時点の数値です。最新の運用は必ず市区町村窓口でご確認ください。

  1. 「介護費用が払えない」と感じる前に知っておくべきこと
    1. 「払えない」の正体は3つに分けられる
    2. 制度を知らないだけで損をしている家族が多い
    3. 最初の相談先は地域包括支援センターとケアマネ
  2. 高額介護サービス費|月額の上限を超えた分が戻る
    1. 仕組みと対象
    2. 自己負担上限額(2026年4月時点)
    3. 申請方法と還付タイミング
    4. 注意点|対象外になるもの
  3. 高額医療・高額介護合算療養費|年間の天井
    1. 医療と介護の合計が高額になる世帯向け
    2. 年額自己負担限度額(70歳以上・2026年4月時点)
    3. 申請の流れ
    4. 高額介護サービス費との関係
  4. 特定入所者介護サービス費(補足給付)|施設の食費・居住費を軽減
    1. 対象は施設入所・ショートステイの食費・居住費
    2. 利用者負担段階(2026年4月時点)
    3. 預貯金等の資産要件
    4. 介護保険負担限度額認定証の申請
  5. 社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度
    1. 介護費用への活用範囲
    2. 金利と連帯保証人
    3. 相談・申請窓口
  6. 生活保護の介護扶助
    1. 介護保険サービスの自己負担が0円になる
    2. 介護扶助の対象範囲
    3. 申請の流れ
    4. 「家・車があると無理」は誤解
  7. 成年後見制度利用支援事業
    1. 認知症の親の財産を守りつつ介護費を捻出する
    2. 後見人報酬・申立費用を市町村が補助
    3. 親族後見と専門職後見の費用差
    4. 利用までの期間
  8. 払えないときの相談先と優先順位
    1. 最初に回るべき3つの窓口
    2. 行政窓口の使い分け
    3. 無料の専門相談窓口
    4. 親の年金額別|実際の制度組み合わせ例
  9. 介護福祉士から見た|「言わない家族」が損をしている現実
  10. まとめ|「お金がないから無理」と諦める前に
  11. よくある質問

「介護費用が払えない」と感じる前に知っておくべきこと

「払えない」の正体は3つに分けられる

同じ「払えない」でも、原因によって使うべき制度が変わります。まず自分のケースを整理しましょう。

タイプ状態主な打ち手
一時的に重い月額上限・年額上限を超えている高額介護サービス費/高額医療・高額介護合算
慢性的に足りない年金収入が低く、施設の食費・居住費が重い補足給付/生活福祉資金貸付
ほぼ無収入本人の資産・年金がほぼなく、扶養者もいない生活保護の介護扶助

多くの家族は「全部足りない」と漠然と感じますが、実際にはどのタイプかで申請順が変わります。

制度を知らないだけで損をしている家族が多い

日本の社会保障は「申請主義」が原則です。条件を満たしていても、本人または家族が申請しなければ支給されません。これは制度設計上の弱点で、「知らなかった」「忙しくて手続きが回らなかった」家族は確実に損をします。

たとえば高額介護サービス費は、初回のみ申請が必要で2回目以降は自動振込になる自治体が多いものの、その初回申請を出していないために何年も還付されていない家族を現場で何例も見てきました。「家のポストに通知は来ているはず」と思っても、要介護の親が一人で開封し放置しているケースは珍しくありません。

最初の相談先は地域包括支援センターとケアマネ

「お金が足りない」と感じた段階で、まず連絡すべき相手は次の3つです。

  • 担当のケアマネジャー:今のサービス構成・自己負担額・利用上限額を一覧化し、無駄を減らす再設計が可能
  • 地域包括支援センター:制度全般のナビゲーター。市区町村窓口や社協への紹介もしてくれる
  • 市区町村の介護保険担当窓口:高額介護サービス費・補足給付など給付制度の申請窓口
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高額介護サービス費|月額の上限を超えた分が戻る

仕組みと対象

1か月の介護保険サービスの自己負担額が一定額を超えた場合、超過分が後日還付される制度です。介護保険サービス利用者なら自動的に対象になります(所得に関係なく適用)。

自己負担上限額(2026年4月時点)

所得区分世帯の月額上限
課税所得690万円以上(年収約1,160万円〜)140,100円
課税所得380万円〜690万円未満(年収約770万〜1,160万円)93,000円
一般(市町村民税課税世帯)44,400円
市町村民税非課税世帯24,600円
市町村民税非課税かつ年金収入80万円以下等個人15,000円・世帯24,600円
生活保護受給者等15,000円

※区分は所得状況により毎年判定されます。具体的な金額は被保険者証と一緒に届く「介護保険負担割合証」と市区町村の通知でご確認ください。

申請方法と還付タイミング

  • 初回:市区町村から該当者あてに申請書が郵送される(申請忘れに注意)
  • 2回目以降:多くの自治体で自動振込(口座登録済みなら手続き不要)
  • 還付タイミング:サービス利用月から3〜4か月後
  • 時効:原則2年。古い分も遡って申請可能な場合あり

⚠️ 見落としやすいポイント

申請書が来ているのに気づかないケースが頻発します。要介護の親が一人暮らしの場合、家族が定期的に郵便物を確認するか、ケアマネに申請書類の到着確認を依頼してください。市区町村窓口に「過去2年分の還付状況」を照会することもできます。

注意点|対象外になるもの

次の費目は高額介護サービス費の対象外です。

  • 食費・居住費(施設・ショートステイ)
  • 日常生活費・理美容代
  • 福祉用具購入費(年間10万円までの保険給付分)
  • 住宅改修費(上限20万円までの保険給付分)
  • 区分支給限度額を超えて自費で利用した分

つまり「保険適用される自己負担分」だけが対象です。施設の食費・居住費が重い場合は、後述の補足給付を併用します。

高額医療・高額介護合算療養費|年間の天井

医療と介護の合計が高額になる世帯向け

1年間(毎年8月〜翌7月)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額の合計が一定額を超えた場合、超過分が還付される制度です。慢性疾患の通院+介護サービスが重なる高齢世帯では適用される確率が高い制度ですが、認知度はまだ低めです。

年額自己負担限度額(70歳以上・2026年4月時点)

所得区分年額自己負担限度額
現役並み所得III(年収約1,160万円〜)212万円
現役並み所得II(年収約770万〜1,160万円)141万円
現役並み所得I(年収約383万〜770万円)67万円
一般56万円
低所得II(市町村民税非課税)31万円
低所得I(年金収入80万円以下等)19万円

申請の流れ

  1. 計算期間(8月1日〜翌年7月31日)終了後、加入する医療保険から「自己負担額証明書」を取得
  2. 市区町村の介護保険担当窓口に申請
  3. 医療と介護それぞれの保険者から按分して還付

申請から還付まで3〜6か月かかります。請求権の時効は2年なので、過去分も遡って申請可能です。

高額介護サービス費との関係

高額介護サービス費(月額制限)と高額医療・高額介護合算(年額制限)は別制度で併用可能です。先に高額介護サービス費で還付された分はすでに自己負担から差し引かれているため、二重取りにはなりません。

特定入所者介護サービス費(補足給付)|施設の食費・居住費を軽減

対象は施設入所・ショートステイの食費・居住費

特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院などの施設入所、およびショートステイを利用する低所得者向けの軽減制度です。食費と居住費(部屋代)の自己負担額を、所得・資産に応じた負担限度額まで引き下げます。

制度名がわかりにくいですが、現場では「補足給付」「介護保険負担限度額認定」と呼ばれます。

利用者負担段階(2026年4月時点)

段階対象(世帯課税状況・年金収入)食費(施設)居住費(多床室)
第1段階生活保護受給者・老齢福祉年金受給者300円/日0円/日
第2段階世帯全員非課税・年金収入等80万円以下390円/日(短期600円)430円/日
第3段階①世帯全員非課税・年金収入等80〜120万円650円/日(短期1,000円)430円/日
第3段階②世帯全員非課税・年金収入等120万円超1,360円/日(短期1,300円)430円/日
第4段階上記以外(軽減対象外)基準費用額(施設設定)基準費用額(施設設定)

※従来型個室・ユニット型個室・ユニット型個室的多床室では金額が異なります。詳細は市区町村窓口で確認してください。

預貯金等の資産要件

2021年8月の制度改正で、所得に加えて預貯金等の資産も判定対象になりました。次の上限を超える資産がある場合は補足給付の対象外です。

段階単身夫婦
第1段階1,000万円以下2,000万円以下
第2段階650万円以下1,650万円以下
第3段階①550万円以下1,550万円以下
第3段階②500万円以下1,500万円以下

※預貯金以外に有価証券・金銀(時価評価額50万円超)・タンス預金等も対象。生命保険・自動車・宝石類は除外。

介護保険負担限度額認定証の申請

  1. 市区町村の介護保険担当窓口で「介護保険負担限度額認定申請書」を入手
  2. 本人と配偶者の通帳のコピーを添付(資産確認のため)
  3. 申請から1〜2週間で「介護保険負担限度額認定証」が交付される
  4. 認定証を施設に提示することで、申請月の初日から軽減が適用される

💡 ポイント

有効期限は1年(毎年8月1日〜翌7月31日)で、毎年更新申請が必要です。施設入所と同時に必ず申請してください。年金収入だけで暮らす親なら、第2〜第3段階に該当する可能性が十分あります。

社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度

介護費用への活用範囲

市区町村の社会福祉協議会(社協)が窓口となる、低所得世帯・高齢者世帯・障害者世帯向けの公的貸付制度です。介護費用に直接使えるのは主に次の2種類。

資金種類用途貸付限度額
福祉資金(福祉費)介護サービス利用に必要な経費、住宅改修、福祉用具購入など原則580万円以内(用途別に細かく設定)
福祉資金(緊急小口資金)緊急的・一時的な生活費10万円以内
総合支援資金失業等で生活困窮した世帯の生活再建月15〜20万円×最大12か月

金利と連帯保証人

  • 連帯保証人を立てる場合:無利子
  • 連帯保証人を立てない場合:年1.5%(緊急小口資金は無利子)
  • 償還期間:用途により異なる(10〜20年)
  • 償還猶予制度あり

相談・申請窓口

住所地の市区町村社会福祉協議会で相談・申請します。電話で「介護費用の相談がしたい」と伝えれば、面談の日程を組んでくれます。申請から貸付まで通常1か月程度かかるため、緊急性が高い場合は早めの相談を。

社協の貸付は「あくまで返す前提」なので、返済能力が見込めないケースでは次の生活保護を含めて検討します。

生活保護の介護扶助

介護保険サービスの自己負担が0円になる

世帯の収入・資産が国の定める最低生活費を下回る場合、生活保護が適用されます。生活保護受給者は介護保険サービスの自己負担分(1割)が「介護扶助」として全額支給されるため、実質0円で介護サービスを利用できます。

40〜64歳で医療保険未加入の生活保護受給者は介護保険の被保険者になりませんが、その場合も介護扶助で同等のサービスを受けられます。

介護扶助の対象範囲

  • 居宅介護(訪問介護・通所介護等の自己負担分)
  • 福祉用具貸与・購入の自己負担分
  • 住宅改修費の自己負担分
  • 施設介護(特養等)の自己負担分
  • 移送費(病院・施設への通院送迎)

※食費・居住費の補足給付分は介護扶助で別途カバーされます。

申請の流れ

  1. 住所地の福祉事務所に相談予約(市役所・区役所・町村役場の生活保護担当)
  2. 面談で生活状況のヒアリング
  3. 申請書を提出
  4. 資産調査・収入調査(金融機関照会含む、約2週間〜1か月)
  5. 申請から原則14日以内、最長30日で受給決定

「家・車があると無理」は誤解

生活保護に関する誤解は多く、現場でも家族が二の足を踏むケースをよく見ます。実際の運用は次の通りです。

誤解実際の運用
持ち家があると申請できない居住用の持ち家は処分対象外(資産価値が著しく高い場合を除く)
子に支払い義務があるから無理扶養は申請の前提条件ではない。可能な範囲での協力依頼にとどまる
少しでも貯金があると申請できない最低生活費の半月分以下の手元資金は容認
車があると申請できない地域・障害状況・通院に必要な場合は所有可(要審査)
恥ずかしいから家族には知られたくない同居家族以外の調査範囲は限定的。「扶養照会」は事情により省略可(厚労省2021年通知)

⚠️ 扶養照会の運用変更(2021年〜)

2021年の厚生労働省通知で、生活保護申請時の親族への扶養照会は「申請者の意向を尊重しつつ、関係性が著しく悪いなど特別の事情がある場合は省略できる」と運用が緩和されました。「子に知られたくない」という理由でも、相談時に正直に伝えれば配慮されます。

申請に同行してもらえる支援団体(つくろい東京ファンド・全国の生活保護支援団体など)もあります。一人で行きづらい場合は活用してください。

成年後見制度利用支援事業

認知症の親の財産を守りつつ介護費を捻出する

認知症が進行すると、本人の銀行口座から介護費用を引き出せなくなる「資産凍結」のリスクが高まります。窓口では本人の意思確認が求められるため、家族が代理で引き出すことが難しくなる場面が増えています。

こうしたとき、本人の財産管理と契約行為を代行する制度が成年後見制度。家庭裁判所が後見人を選任し、後見人が本人に代わって介護サービス契約や預貯金管理を行います。

後見人報酬・申立費用を市町村が補助

成年後見制度には次の費用がかかりますが、市町村民税非課税世帯等を対象に「成年後見制度利用支援事業」として市町村が負担を肩代わりする仕組みがあります。

項目標準的な費用補助対象
申立手数料・登記手数料約1万円非課税世帯等は補助あり
鑑定料(必要時)5〜10万円非課税世帯等は補助あり
専門職後見人報酬月額2〜6万円非課税世帯等は補助あり(月額上限あり)

※補助内容・上限額は自治体によって異なります。市区町村高齢福祉課・地域包括支援センターでご確認ください。

親族後見と専門職後見の費用差

  • 親族後見(家族が後見人):報酬は原則発生しない(家裁に申請すれば発生する場合あり)
  • 専門職後見(弁護士・司法書士・社会福祉士):月額2〜6万円程度
  • 家裁の判断で親族・専門職どちらが選任されるかが決まる(資産規模・親族関係で判断)

利用までの期間

申立から後見開始まで通常2〜4か月かかります。「資産凍結が起きてから」では介護費の支払いが間に合わないため、認知症の診断を受けたら早めに地域包括や弁護士に相談するのが鉄則です。

⚠️ 日常生活自立支援事業も検討を

成年後見ほど大がかりにせず、日常的な金銭管理だけ支援してほしい場合は、社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」が選択肢になります。利用料は月1,000〜数千円程度で、預貯金引き出しの代行・福祉サービス契約の支援などを受けられます。

払えないときの相談先と優先順位

最初に回るべき3つの窓口

「お金が足りない」と感じたら、次の順序で相談を回してください。

  1. 担当ケアマネジャー:今のサービス利用に無駄がないか・上限額を超えていないか・補足給付の申請有無を確認
  2. 地域包括支援センター:制度の全体像と他機関への橋渡し(社協・福祉事務所への紹介)
  3. 市区町村の介護保険担当窓口:高額介護サービス費・補足給付の申請受付

ケアマネ・地域包括・市区町村の3者で、上から順に相談していくのが定石です。

行政窓口の使い分け

窓口担当する範囲
介護保険担当課高額介護サービス費・補足給付・介護保険制度全般
高齢福祉課(高齢支援課)成年後見制度利用支援事業・地域支え合い事業
福祉事務所(生活保護担当)生活保護申請・各種扶助
社会福祉協議会生活福祉資金貸付・日常生活自立支援事業

窓口名は自治体により異なります。「介護費用の相談がしたい」と総合案内に伝えれば適切な窓口に案内されます。

無料の専門相談窓口

  • 法テラス:成年後見・相続・債務など法律相談(収入要件で無料)
  • 弁護士会・司法書士会の無料相談:高齢者・福祉分野の専門枠あり
  • 都道府県社会福祉士会:成年後見・権利擁護の相談
  • NPO法人・市民後見団体:自治体ごとに支援団体が存在

親の年金額別|実際の制度組み合わせ例

💡 ケース1|年金月15万円・在宅介護

要介護3で在宅介護。月のサービス自己負担が3〜4万円、医療費1万円程度。
高額介護サービス費の世帯上限44,400円に達するかを毎月確認。年間で高額医療・高額介護合算に届くかも8月締めで集計。

💡 ケース2|年金月8万円・特養入所

非課税世帯・年金80万円以下。特養の食費・居住費が月10万円超で年金を超過。
補足給付(介護保険負担限度額認定)を申請。第2段階適用で食費390円/日・居住費430円/日(多床室)に減額。家族の補填が大幅に減る。

💡 ケース3|年金月5万円・親族支援なし

本人に貯金なし、扶養できる親族なし。
福祉事務所で生活保護申請。介護扶助で介護保険サービスの自己負担0円、補足給付も適用。住居費は住宅扶助でカバー。

介護福祉士から見た|「言わない家族」が損をしている現実

介護福祉士 SEDO(経験7年)

現場で「お金の話」をご家族から切り出されたとき、まず聞くのは「補足給付の認定証は持っていますか?」「直近の還付通知は来ていますか?」の2つです。「いえ、特に何も…」というご家族が驚くほど多く、申請するだけで月数万円単位の差が出るケースも珍しくありません。

介護費用の制度は、申請主義窓口の分散が二重の壁になっています。「家族が制度を全部知っているはず」という前提で運用されているため、知らない家族・調べる時間がない家族が損をします。とくに次のパターンは要注意です。

  • 遠距離介護で親の郵便物を確認できていない
  • 主介護者がフルタイム勤務で平日に窓口へ行けない
  • 「お金の話を本人にしたくない」と先送りしている
  • 「役所は冷たいから」と相談自体を避けている

制度を使うのは「恥ずかしい」ことではなく、納めた保険料・税金で運営される正当な権利です。むしろ使わない方が、本人の生活水準を下げてしまうことになります。

また、ケアマネには遠慮せず家計の話をしてください。多くのケアマネは家族の経済状況を踏まえてサービスを再設計してくれます。「お金がないとは言いにくい」と黙っていると、適切な提案を受ける機会を失うだけです。

まとめ|「お金がないから無理」と諦める前に

介護費用が払えなくなりそうな段階で、必ず確認すべきことを最後に整理します。

  • ① 高額介護サービス費:月額上限を超えた分が還付される(申請忘れに注意)
  • ② 高額医療・高額介護合算療養費:年間(8〜7月)の医療+介護の合計に上限
  • ③ 特定入所者介護サービス費(補足給付):施設・ショートの食費・居住費を軽減
  • ④ 生活福祉資金貸付:社協で借りられる無利子・低利の福祉貸付
  • ⑤ 生活保護の介護扶助:自己負担が0円に、誤解で諦めない
  • ⑥ 成年後見制度利用支援事業:後見人費用を市町村が補助

そして、相談のスタート地点はケアマネ→地域包括支援センター→市区町村窓口の3つ。1か所で答えが出なくても、必ず次の窓口を紹介してもらえます。

「お金がないから施設は無理」「介護を諦めるしかない」と決めつける前に、まず1本電話を。制度を使うことは、本人の尊厳と家族の生活の両方を守る選択です。

▶ 次のステップ

・介護費用の総額をまず把握する → 介護費用の総額シミュレーション
・ケアマネと相談しサービスを再設計する → ケアマネジャーの選び方・探し方
・仕事を辞める前に介護休業制度を確認 → 介護休業・介護休暇・有給の違い
・介護離職を考える前に → 親の介護で仕事を辞める前に知ってほしい現実

よくある質問

Q:介護費用が払えなくなりそうなとき、最初にどこに相談すればいいですか?
A:最初の相談先は3つです。①担当のケアマネジャー(サービス内容と費用の見直し)、②地域包括支援センター(制度全般の案内・他機関への橋渡し)、③市区町村の介護保険担当窓口(高額介護サービス費・補足給付など給付制度の申請受付)。さらに低所得・無収入が見込まれる場合は、社会福祉協議会の生活福祉資金貸付や、福祉事務所での生活保護の相談も並行して進められます。1つの窓口で解決しないことが多いため、複数を回るのが現実的です。

Q:高額介護サービス費の月額上限はいくらですか?
A:2026年4月時点では、市町村民税非課税世帯で月24,600円、一般所得層で月44,400円、課税所得380万〜690万円未満で93,000円、課税所得690万円以上で140,100円が上限です(生活保護受給者等は月15,000円)。介護保険サービスの自己負担分がこの上限を超えた場合、超過分が後日還付されます。食費・居住費・福祉用具購入費・住宅改修費は対象外です。最新の区分は市区町村ホームページでご確認ください。

Q:親の年金だけでは介護費が足りない場合、子どもに支払い義務はありますか?
A:民法877条により直系血族には扶養義務がありますが、これは「自分の生活を維持したうえで余力がある範囲で」と解釈されており、子の生活を壊してまで負担する強制力はありません。生活保護の運用でも「扶養は保護の前提条件ではない」と明記されています。親の年金で足りない場合は、まず本記事で紹介する公的支援6制度を順に検討し、それでも不足するなら福祉事務所で生活保護の相談を行うのが現実的です。子の貯金を切り崩す前に、必ず制度の利用可能性を確認してください。

📚 出典・参考

・厚生労働省「介護保険制度の概要」
・厚生労働省「高額介護サービス費」関連通知
・厚生労働省「特定入所者介護サービス費(補足給付)の見直し」(2021年8月施行)
・厚生労働省「生活保護制度」「介護扶助」関連通知
・全国社会福祉協議会「生活福祉資金貸付制度」
・最高裁判所事務総局「成年後見関係事件の概況」
・生命保険文化センター「生活保障に関する調査」
※金額・所得区分は2026年4月時点の一般的な解説です。最新の運用は必ず市区町村窓口でご確認ください。個別の判断は社会福祉士・ケアマネジャー・税理士・弁護士等の専門職にご相談ください。

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