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介護保険の申請から認定までの完全ガイド|地域包括への相談から要介護認定の通知まで【2026年版】

介護制度・お金・手続き

「最近、親の様子が心配」「物忘れが増えてきた」――そう感じたとき、まず動くべきは介護保険の申請です。介護保険は申請主義のため、申請しなければサービスは1円も使えません。一方で、申請から認定通知まで一般的に30〜60日かかるため、早めに動くほど選択肢が広がります。

本記事では、介護福祉士として家族からの相談に多く応じてきた経験をふまえ、2026年4月時点の制度に基づいて地域包括支援センターへの相談から要介護認定の通知までの流れを整理します。書類の書き方・訪問調査でのコツ・暫定利用の活用法など、家族が損をしないためのポイントも盛り込みました。

具体的な手続き・最新の運用は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口でも必ずご確認ください。

介護保険申請の全体フロー|まず全体像をつかむ

ステップ 担当 所要日数の目安
① 地域包括支援センターに相談 家族 初回30〜60分
② 市区町村に申請書提出 家族・代行可 窓口対応30分
③ 訪問調査(認定調査員が自宅訪問) 調査員 申請から1〜2週間
④ 主治医意見書の作成 主治医 申請から2〜3週間
⑤ 一次判定(コンピュータ判定) 市区町村 調査結果到着後すぐ
⑥ 介護認定審査会(二次判定) 市区町村 申請から3〜5週間
⑦ 認定通知の送付 市区町村 原則30日以内、実務上30〜60日
⑧ ケアマネ選定・ケアプラン作成 家族・ケアマネ 認定通知後すぐ
⑨ サービス開始 事業所 ケアプラン確定後

申請から実際にサービスを使い始めるまで、おおよそ1〜2か月を見込んでください。急ぎの場合は後述する「暫定利用」で申請日まで遡って使えます。

ステップ①|地域包括支援センターに相談

地域包括は「介護の入口の総合窓口」

介護に関する家族の最初の相談先は地域包括支援センターです。市区町村が運営する公的機関で、住民税で運営されているため相談はすべて無料です。

  • 介護保険申請の前段階の相談
  • 申請手続きの代行
  • 制度全般の案内
  • 適切な相談機関への橋渡し
  • 本人・家族の困りごとの整理

担当エリアは「親の住所地」で決まる

地域包括は中学校区程度のエリアごとに設置されており、対象は本人の住所地で決まります。離れて暮らす家族が代理で動く場合も、親の住所地の地域包括に連絡します。電話番号は市区町村ホームページ「地域包括支援センター一覧」で検索できます。

初回相談で持参するもの

  • 本人の介護保険被保険者証(65歳以上は誕生日に郵送される茶色のカード)
  • 本人の医療保険証
  • かかりつけ医の名前・連絡先
  • 本人の困りごとのメモ(具体的な事例があると話が進みやすい)
  • 家族の連絡先

ステップ②|介護保険の申請書を提出する

申請窓口

申請書の提出先は市区町村の介護保険担当窓口。地域包括に依頼すれば申請を代行してもらえます。本人や家族が直接窓口へ行く場合は、事前に必要書類を確認してから行くと二度手間を避けられます。

必要書類

書類 備考
要介護認定(要支援認定)申請書 窓口・自治体HPから入手
介護保険被保険者証 原本
医療保険証 40〜64歳の方は必須(特定疾病該当者)
マイナンバー確認書類 個人番号カード等
本人確認書類 運転免許証等
主治医の氏名・医療機関名 意見書依頼に必要

申請書の書き方|主治医欄が重要

申請書のうち主治医欄がもっとも重要です。記載した医師に「主治医意見書」が依頼されるため、本人の状態をよく把握している医師を選んでください。

  • かかりつけ医がいる場合:その医師を記載
  • 複数の医師にかかっている場合:直近3か月で最も多く受診している医師
  • かかりつけ医がいない場合:地域包括に相談して紹介してもらう

オンライン申請の拡大

2024年以降、マイナポータルからのオンライン申請を受け付ける自治体が増えています。離れて暮らす親の代理申請が出向かずに完了するケースもあるため、お住まいの自治体の対応状況を確認してください。

ステップ③|訪問調査の準備とコツ

訪問調査とは

市区町村から委託された認定調査員(社会福祉士や看護師など)が自宅を訪問し、本人の生活状況・身体機能・認知機能を調査します。所要時間は30〜60分程度。

調査項目は全国共通の74項目(基本調査)で、身体機能・生活機能・認知機能・精神/行動障害・社会生活への適応の5領域に分かれます。

家族が同席するのが鉄則

本人だけだと、見栄を張って「できる」と答えてしまうケースが多いです。必ず家族が同席してください。本人の前で訂正しにくい話は、調査員に対し別室・別電話・あとからのメモで補足します。

「できる」と「いつもできる」は違う

調査員に伝えるべきは「普段の状態」です。次の伝え方の差を意識してください。

NG(実態より良く伝わる) OK(実態が伝わる)
「歩けます」 「短距離なら歩けますが、買い物の往復で必ず休憩が要ります」
「お風呂に入っています」 「週2回ですが、私が体を洗っています。一人だと滑って危ないので必ず付き添います」
「物忘れはあります」 「夕食を食べたことを30分後に忘れます。何度も同じ話をします」
「夜は眠れます」 「夜中に2〜3回起きてトイレに行きます。週に1〜2回、朝までソファで寝ています」

事前に「困りごとメモ」を作っておく

調査当日は緊張して言いそびれることが多いため、1〜2週間の間に起きた具体的な困りごとを箇条書きでまとめておきます。例:

  • ○月○日:火を消し忘れて鍋を焦がした
  • 毎朝:薬を飲んだか覚えておらず、私(家族)が確認
  • 週2〜3回:夜中に「家に帰る」と外に出ようとする
  • 毎食:食べたことを忘れ「何も食べていない」と訴える

調査員は「何月何日にどう困ったか」という具体例を最も重視します。

⚠️ 認定調査でよくある誤解

「認定で重く出ると本人が傷つく」と気を使って実態より軽く答えるご家族がいますが、これは結果的に本人が必要なサービスを使えなくなり、本人にも家族にも不利になります。「実態を正直に伝える」が本人を守る最善と覚えてください。

ステップ④|主治医意見書の依頼

主治医に「申請したことを伝える」

申請後、市区町村から主治医に「主治医意見書」の作成依頼が郵送されます。スムーズに進めるため、申請を出した時点で家族から主治医に「介護保険を申請したので意見書をお願いします」と一言添えると、書類が来ても驚かれず、医師も本人の状態を思い出して書きやすくなります。

意見書の重要性

主治医意見書には次のような項目があり、要介護認定の判定に直結します。

  • 傷病名と経過
  • 症状の安定性
  • 認知症の中核症状・周辺症状
  • 身体機能・起居動作・生活機能の状況
  • 医療上の管理(特別な医療の必要性)
  • サービス利用に関する意見

主治医に正確に伝えるコツ

外来受診のときは本人だけだと普段の様子が医師に伝わらないため、家族が同行して困りごとを直接医師に伝えるのが理想です。それが難しければ、家族から事前に「最近の様子メモ」をFAX・郵送・受診時の手渡しで提供する方法もあります。

ステップ⑤〜⑥|一次判定と二次判定

一次判定(コンピュータ判定)

訪問調査結果(74項目)を全国共通のソフトに入力し、要介護度の目安が機械的に出ます。

二次判定(介護認定審査会)

医師・看護師・社会福祉士などの専門職5名程度で構成される介護認定審査会が、一次判定結果+特記事項+主治医意見書を総合判定します。「特記事項」(訪問調査員が文章で記載する備考)と意見書の内容で判定が動くため、調査時にきちんと困りごとを伝えることが結果を左右します。

ステップ⑦|認定通知

認定区分は8段階

区分 状態の目安
非該当(自立) 介護保険サービスは使えない
要支援1 日常生活はほぼ自立、一部支援が必要
要支援2 立ち上がりや歩行に支援が必要
要介護1 歩行・排泄・入浴に部分介助が必要
要介護2 食事・排泄に部分介助、立ち上がりに介助
要介護3 日常生活全般に全介助、認知症が進行
要介護4 日常生活に全介助、意思疎通に困難
要介護5 寝たきり、意思疎通が極めて困難

認定の有効期間

新規認定は原則6か月、更新認定は12か月が標準。状態が安定しているケースでは更新時に最大48か月まで延長できる仕組みもあります。

認定が想定より低かったとき

選択肢は2つ。

  1. 区分変更申請:状態変化を理由に再調査を依頼(数か月で結果)
  2. 不服申立て(審査請求):都道府県の介護保険審査会に審査請求(結果通知から3か月以内)

一般的には区分変更申請の方が現実的。前回の調査で十分伝わらなかった困りごとを、家族のメモ・主治医意見書の追記でしっかり再申告することで判定が変わるケースが多くあります。

ステップ⑧〜⑨|ケアマネ選定とサービス開始

要介護1以上はケアマネ/要支援1〜2は地域包括

認定区分 担当
要介護1〜5 居宅介護支援事業所のケアマネジャー
要支援1〜2 地域包括支援センターの保健師等

ケアマネ選びのコツ

  • 地域包括に複数の事業所を紹介してもらう
  • 面談で家族との相性を確認
  • 合わなければ後から変更可能(無料・理由不要)
  • 担当できるエリアと得意分野を確認

暫定利用|認定前にサービスを使い始める

急ぎでサービスを使いたい場合、認定通知を待たずに暫定ケアプランでサービスを開始できます。家族の判断で「要介護○程度」と仮設定し、認定区分に合わせた範囲内で使えば、認定後に追加負担はありません。ただし仮設定より低い認定が出ると自己負担額が膨らむリスクがあるため、ケアマネに相談しながら慎重に進めてください。

40〜64歳が申請する場合|特定疾病該当者

40〜64歳(第2号被保険者)も、16の特定疾病に該当すれば介護保険を申請できます。代表的な特定疾病:

  • がん末期
  • 関節リウマチ
  • 筋萎縮性側索硬化症(ALS)
  • 脳血管疾患
  • パーキンソン病関連疾患
  • 初老期における認知症
  • 骨折を伴う骨粗鬆症
  • 多系統萎縮症
  • 糖尿病性神経障害・腎症・網膜症
  • 早老症
  • その他、計16疾病

申請時に医療保険証を提示し、主治医意見書で特定疾病が確認されれば、65歳以上と同様の流れで認定を受けられます。

介護福祉士から見た|申請でつまずく家族の傾向

介護福祉士 SEDO(経験7年)

申請の段階でつまずくのは、本人または家族の遠慮が多くを占めます。「介護保険を使うのは早い」「もう少し様子を見てから」と先延ばしにしているうちに、本人の状態が悪化してから慌てて申請するパターンを現場で何度も見てきました。

申請してすぐにサービスを使う必要はありません。「使える状態を確保しておく」だけでも大きな安心になります。次のような状況なら、迷わず申請に動いてください。

  • 家事の手順が崩れ始めた
  • 外出して帰れなくなった経験がある
  • 転倒・骨折で生活機能が落ちた
  • 退院直後で在宅生活が不安
  • 家族が遠距離で見守りに限界を感じる
  • 認知症の診断を受けた

申請は無料、認定が下りても使うか使わないかは家族の判断です。早めに動くことが、選択肢を広げる最大のコツと覚えてください。

まとめ|申請は「使う」より先に「権利を確保する」

介護保険申請の要点を整理します。

  • 最初の相談先は地域包括支援センター(無料・代行申請可)
  • 申請から認定まで30〜60日、急ぎなら暫定利用
  • 訪問調査は家族同席+具体例で実態を伝える
  • 主治医意見書のため主治医に「申請した」と伝える
  • 認定が低ければ区分変更申請で再調査
  • 要介護はケアマネ、要支援は地域包括が担当

介護保険は申請しないと一切使えない制度です。「使う」ことより先に「権利を確保する」意識で、早めに動いてください。

▶ 次のステップ

地域包括支援センターの使い方
親が倒れた直後にやること
・要介護認定の判定の仕組み → 要介護認定の基礎知識
・ケアマネジャーの選び方 → ケアマネジャーの選び方・探し方

よくある質問

Q:介護保険の申請は誰ができますか?
A:本人が原則ですが、家族・親族による代理申請が認められています。さらに地域包括支援センター、居宅介護支援事業所のケアマネジャー、成年後見人なども代行申請が可能です。本人が遠方の親の代理申請をする場合や、認知症で本人申請が難しい場合も問題なく手続きを進められます。申請費用は無料で、市区町村の介護保険担当窓口(または地域包括支援センター経由)で申請書を提出します。

Q:申請から認定までどのくらいかかりますか?
A:原則30日以内に認定結果が通知されます。実際の運用では、訪問調査の調整・主治医意見書の到着待ち等で30〜60日程度かかるケースもあります。急ぎでサービスを使いたい場合は、申請日まで遡って暫定ケアプランで開始できる「暫定利用」が可能です。ケアマネに「暫定で組んでほしい」と相談してください。認定が下りる前にサービスを使い始めても、認定区分内なら追加負担はありません。

Q:認定結果が想定より低かったときどうすればいいですか?
A:選択肢は2つあります。①不服申立て(介護保険審査会への審査請求、結果通知から3か月以内)、②区分変更申請(状態変化を理由に再調査を依頼)。一般的には②の区分変更申請が早く、調査時に普段の状態が伝わりきらなかった点を主治医意見書・家族のメモで補足するのが定石です。判定の正確性を上げるには、訪問調査時に本人の「できるとき/できないとき」の差を具体例で伝えることが重要です。

📚 出典・参考

・厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」
・厚生労働省「介護保険制度の概要」
・厚生労働省「主治医意見書記載の手引き」
・厚生労働省「介護報酬改定」(2024年4月)
・各市区町村「介護保険要介護認定申請」関連要綱
※制度の詳細は2026年4月時点の一般的な解説です。最新の運用は市区町村の介護保険担当窓口で必ずご確認ください。

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