在宅介護を続けていくには、家族だけで頑張らず介護保険サービスを上手に組み合わせることが必須です。しかし「サービスの種類が多すぎて違いがわからない」「うちの場合はどれを使うべき?」という声を、現場で頻繁に耳にします。
この記事では、介護福祉士として現場で関わってきた経験から、在宅で使える主な介護保険サービスを訪問系・通所系・短期入所系・その他に分けて整理し、要介護度別の組み合わせ例まで具体的に紹介します。
在宅介護サービスの全体像
在宅で受けられる介護保険サービスは、大きく4つのカテゴリに分かれます。
- 訪問サービス:自宅にスタッフが来てケア
- 通所サービス:施設に通ってケアを受ける
- 短期入所サービス:数日〜数週間泊まりで利用
- その他のサービス:福祉用具・住宅改修・特定の地域密着型
訪問系サービス
訪問介護(ホームヘルパー)
- 身体介護:食事・排泄・入浴・移乗の介助
- 生活援助:掃除・洗濯・調理・買い物代行
- 1回20〜60分程度。週数回〜毎日まで設定可能
訪問看護
看護師が訪問して医療的ケア(褥瘡処置、点滴管理、服薬管理、健康観察)を行います。医療依存度が高い在宅介護では必須のサービスです。
訪問入浴介護
浴槽を持参して自宅で入浴を提供。寝たきりの方や、自宅の浴室での入浴が困難な方に使われます。看護師1名+介護職2名の3人体制が基本。
訪問リハビリテーション
理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が訪問し、自宅での機能訓練を行います。退院直後や歩行能力低下時に有効です。
居宅療養管理指導
医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士が訪問して指導を行うサービス。通院が困難な方の医療管理を支えます。
通所系サービス
通所介護(デイサービス)
朝に送迎で施設へ通い、入浴・食事・レクリエーション・機能訓練を受けて夕方帰宅。介護者の休息(レスパイト)にも有効です。週1〜5回利用が一般的。
通所リハビリテーション(デイケア)
医師の指示のもと、リハビリを中心に行う通所サービス。老健・病院併設が多く、機能維持・回復に重点があります。
地域密着型通所介護
定員18人以下の小規模デイサービス。顔なじみの関係を築きやすく、認知症の方に向いています。
認知症対応型通所介護
認知症の方専用のデイサービス。専門スタッフが少人数で対応します。
短期入所系サービス
短期入所生活介護(ショートステイ)
特養などに数日〜30日まで泊まれるサービス。介護者の冠婚葬祭・出張・体調不良時のレスパイトに重宝します。
短期入所療養介護(医療型ショートステイ)
老健や医療施設で、医療管理を含む短期入所が可能。胃ろう・たん吸引などが必要な方に対応します。
その他のサービス
福祉用具貸与・特定福祉用具販売
- レンタル:介護ベッド、車いす、歩行器、手すり、スロープ等
- 購入:ポータブルトイレ、入浴補助具、簡易浴槽等(年間10万円まで保険適用)
住宅改修
手すり設置、段差解消、滑り止め、引き戸への変更など。上限20万円まで保険適用(自己負担1〜3割)。
定期巡回・随時対応型訪問介護看護
1日に複数回の訪問と、24時間対応のコール体制を組み合わせたサービス。重度の方の在宅生活を支える要です。
小規模多機能型居宅介護
「通い」「訪問」「泊まり」を1つの事業所で柔軟に組み合わせられるサービス。利用回数は包括報酬で、状況に応じた使い方が可能です。
要介護度別の組み合わせ例
要介護1〜2(軽度)
- 訪問介護:週1〜2回
- デイサービス:週1〜2回
- 福祉用具レンタル:手すり程度
要介護3(中度)
- 訪問介護:週3〜5回
- デイサービス:週2〜3回
- ショートステイ:月1〜2回
- 福祉用具レンタル:介護ベッド、車いす
要介護4〜5(重度)
- 訪問介護:毎日複数回
- 訪問看護:週2〜3回
- 訪問入浴:週2回
- デイサービス/デイケア:週2〜3回
- ショートステイ:月数回
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護も検討


サービス選びの3つのコツ
ケアマネと一緒に組み立てる
サービスの組み合わせはケアマネの専門領域です。家族だけで決めず、必ず相談してください。良いケアマネの選び方はこちら。

最初は多めに、慣れたら調整
「無理してでも頑張る」発想は長続きしません。最初はサービスを多めに入れ、慣れたら減らすほうが現実的です。
レスパイトを最初から計画
介護者が倒れたら家庭が崩壊します。月1回のショートステイなど、家族の休息を最初から組み込むのが鉄則です。
介護福祉士から見た|サービスの上手な使い方
介護福祉士 SEDO(経験7年)
サービスを上手に使うご家族は、「使えるものは全部使う」という発想で動いています。逆に「家族でできることはやろう」と頑張りすぎるご家族ほど、半年〜1年で限界が来ます。
在宅介護は10年単位で続く可能性があります。持続可能なペースを最初から意識して組み立てることが、本人にも家族にも一番の優しさです。
まとめ
在宅介護サービスは多種多様ですが、ケアマネと相談しながら本人の状態・家族の負担・経済状況のバランスで組み立てれば、大半のケースで対応できます。家族の限界を伝える勇気と、制度を使い倒す姿勢が、在宅介護を続ける鍵です。
在宅サービス個別の使い方ガイド
各サービスの「使い方の細かいコツ」を別記事で深掘りしています。在宅介護を継続するための実務に役立ちます。





▶ 次のステップ
・要介護度別に使えるサービス一覧 → 介護保険で使えるサービス一覧【要介護度別】
・在宅介護が限界と感じたら → 在宅介護が限界だと感じたときに考えるべき選択肢
・介護費用の試算
よくある質問
Q:在宅介護サービスは要介護認定がないと使えませんか?
A:介護保険サービスを利用するには要介護認定(要支援1以上)が必要です。認定を受けていない場合は、地域包括支援センターでまず申請手続きを始めてください。認定までの30日間は介護保険外のサービス(自費の家事代行等)で対応する形になります。
Q:ショートステイは何日まで連続で使えますか?
A:短期入所生活介護(ショートステイ)は、原則として連続30日まで利用可能です。要介護度に応じた区分支給限度額の範囲で、月の利用日数も決まります。介護者の冠婚葬祭・出張・体調不良時のレスパイトに有効活用してください。
Q:在宅介護でサービスを組み合わせる際のコツは何ですか?
A:ケアマネジャーと一緒に組み立てること、最初はサービスを多めに入れて慣れたら調整すること、レスパイト(家族の休息)を最初から計画に組み込むことの3点です。介護は10年単位で続く可能性があるため、持続可能なペース設計が重要です。
📚 出典・参考
・厚生労働省「介護保険制度の概要」
・厚生労働省「介護給付費等実態統計」
※本記事の制度情報は2026年4月時点。


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