「このままでは仕事を続けられないかもしれない」
親の介護が始まったとき、多くの人が一度はそう考えます。
前回の記事「介護離職で人生が変わる?辞める前に知るべきこと」では、離職がもたらす経済的・心理的リスクについて解説しました。今回はその続編として、“辞める前に使える制度”を具体的に整理します。
前回の記事はこちらから
介護離職で人生が変わる?辞める前に知るべきこと
介護離職は、決して珍しい話ではありません。
総務省の調査でも、家族の介護や看護を理由に離職する人が一定数存在しています。しかし、その中には「制度を知らなかった」「相談先が分からなかった」という理由で退職を選んだケースも少なくありません。
介護は突然始まり、長期化する可能性があります。だからこそ重要なのは、感情だけで判断せず、使える制度を一つずつ確認することです。
結論から言えば、介護離職は「完全に防げる」とは断言できません。しかし、負担を大きく減らす方法は確実に存在します。
まず知るべき「介護休業制度」とは
仕事と介護を両立するうえで、最初に確認すべきなのが育児・介護休業法に基づく介護休業制度です。
介護休業の基本内容
- 対象家族1人につき通算93日まで取得可能
- 最大3回まで分割取得できる
- 要介護状態であれば申請可能
ここで重要なのは、「93日間連続で休む制度」ではなく、状況に応じて分割できる制度だという点です。
例えば、
・最初の1か月は集中的にサポート
・残りは必要に応じて取得
といった柔軟な使い方が可能です。
介護休暇との違い
介護休暇は、年5日(対象家族が2人以上なら10日)取得でき、時間単位での取得も可能です。
通院付き添いや役所手続きなど、短時間の対応に向いています。
制度を「知っている」だけでは不十分です。
どう使うかを具体的に想像することが大切です。
休業中の収入は?介護休業給付金の仕組み
「休んだら収入がゼロになるのでは?」
これが最大の不安要素でしょう。
しかし、雇用保険に加入していれば、ハローワークを通じて介護休業給付金が支給されます。
支給額の目安
休業開始前賃金の約67%
例:
月収30万円 → 約20万円程度支給
月収25万円 → 約16〜17万円程度支給
満額ではありませんが、「収入が完全に途絶える」わけではありません。
また、社会保険料の扱いについても会社に確認しましょう。企業によっては負担軽減措置がある場合もあります。
「お金が不安で辞める」という選択をする前に、
給付制度を必ず確認してください。
会社独自の両立支援制度を確認する
法定制度に加えて、企業独自の支援策があるケースもあります。
例えば:
- 短時間勤務制度
- フレックスタイム制
- テレワーク制度
- 介護相談窓口
- 特別有給制度
近年は、仕事と介護の両立支援を強化する企業が増えています。背景には、労働力不足と高齢化の進行があります。また、厚生労働省も両立支援の普及を推進しています。
厚生労働省のサイトは以下をご参照ください。
仕事と介護の両立 ~介護離職を防ぐために~
「辞める」前に、
人事担当者へ相談することは決して迷惑ではありません。
むしろ、制度を使うことは正当な権利です。
介護保険サービスを活用する
家族だけで抱え込むことが、介護離職の最大の原因です。
介護保険法に基づき、要介護認定を受ければさまざまなサービスが利用できます。
主なサービス
- 訪問介護(ヘルパー)
- デイサービス
- ショートステイ
- 福祉用具レンタル
特にショートステイは、介護者の休息を目的とした利用が可能です。
「仕事を続けたい」という前提でケアマネジャーに相談すれば、
両立を意識したケアプランを作成してもらえます。
介護はチーム戦です。
家族だけで完結させる必要はありません。
介護離職のリスクを冷静に考える
感情が限界に達したとき、退職は一時的な解放に感じられます。
しかし、離職後には次のような現実があります。
- 収入減少
- 将来の年金額への影響
- 再就職の難しさ
- 社会的孤立
介護はいつか終わります。
しかしキャリアへの影響は、その後も続きます。
もちろん、心身の限界を超えてまで働くべきではありません。
大切なのは、「制度をすべて確認したうえで判断すること」です。
それでも辞める選択をする場合
制度を活用しても難しい場合もあります。
その場合は、
- 失業給付の確認
- 再就職支援制度
- 資格取得によるキャリア再設計
など、次の一手を準備することが重要です。
「辞める=終わり」ではありません。
辞め方次第で未来は変わります。
まとめ|“辞める前”に必ず確認すること
介護離職を防ぐために確認すべき制度は次の通りです。
- 介護休業制度
- 介護休業給付金
- 介護休暇
- 会社独自の支援制度
- 介護保険サービス
知らなかったことで、将来の選択肢を狭めないでください。
仕事と介護は、確かに簡単ではありません。
しかし、制度と支援を組み合わせれば、両立の可能性は広がります。
「辞める」は最後の選択肢。
まずは、使える制度を一つずつ確認することから始めましょう。



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